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csr2012   12 / 50

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12 東亞合成グループ CSR報告書 2012 ライフラインを維持するために .東亞合成グループの役割.  当社グループでは、ライフラインを支えるさまざまな製品を製造しています。  塩水を電気分解して得られる苛性ソーダと塩素は化学産業の基礎製品であり、多くの化学製品の原料などに使われています。次亜 塩素酸ソーダは、上下水道の殺菌、消毒に使用され、安全・安心な水の供給に貢献しています。  また、アロン化成では、給排水分野のライフラインに、塩化ビニル製小口マス・マンホール、パイプをはじめとする、高品質で独創 的な管路システムを提供しています。  震災直後は、これらの製品の安定供給を果たすために、特別態勢で対応にあたりました。 特 集 1 ライフラインを支える次亜塩素酸ソーダの安定供給に全力を注ぐ 震災直後、関東および東北地方の電解設備がすべて停止したため関東以北で大混乱を招きました。特に 次亜塩素酸ソーダは、上下水道の殺菌・消毒に使用され、ライフラインの維持に欠かせないものですが、 時間がたつと殺菌能力が落ちるため東日本における供給不足が懸念されました。 震災直後に停止した鶴見曹達の各プラントのうち、電解プラントは震災発生4日後に再稼働させるこ とができ、その後、上下水道向けの次亜塩素酸ソーダなどライフライン維持にかかわる製品の設備を 優先して立ち上げ、3月16日には全設備の稼働を再開しました。 電解プラントが停止している遠隔地や、経済産業省からの供給要請に最大限応えるべく、輸送 能力を限界まで使ってライフライン関連製品を最優先に出荷を行いました。また、東亞合成名古 屋工場からも関東地区へ応援出荷を行いました。 このような予測不可能な事態を経験して、ライフライン確保の大切さや電解メーカーの役割 の重要性を再認識することになりました。震災以降、BCPがクローズアップされていますが、 策定するだけではなく、いつでも実行に移せるようにしなければなりません。また、東亞合 成・鶴見曹達間の連携を深め、グループの電解事業発展につなげていきたいと思います。 水環境を支えるためにアロン化成ならではの責務を果たす 下水設備は生活に欠かせないライフラインです。いくら清潔な水を確保しても、使用後の汚水を正しく排水し、処理 できなければ害虫や感染症の発生を招きます。そのため、震災当初は供給不安からくる大量の受注と急激な 在庫の減少、出荷の遅れなどに対し緊急の対応が必要となりました。 名古屋・尾道・関東工場の3拠点での生産・供給体制において、まず被災地への製品供給を第一と する緊急対策方針を定め、受注状況を整理し、資材の必要数と優先順位を明確にしました。そして被 災地外のお客さまにはきちんとご説明し、供給不安の解消に努めました。また、在庫管理システムの 適正化を行い、関連部門とも都度情報を共有しました。その結果、安定した出荷体制によりお客さま からも評価をいただきました。 その後の復旧工事でも、一部の仮設住宅建設において当社の一括集中排水システムが大幅な工期 の短縮に貢献しました。これは管材をトータルで提案し、施工面や機能性においてより使いやすさを 重視した製品開発を進めてきた当社だからこそ実現できたことだと考えています。 ライフライン維持にかかわる企業として、緊急時の事業継続は重要な責務です。今回の震 災であらためてその意識が高まり、体制の再構築にも少しずつ反映されています。同時に、 災害に強いインフラ整備へのニーズに応える製品開発も進めていきたいと思います。 東亞合成 基礎化学品事業部 クロルアルカリ・硫酸グループ 花本 貴彦 アロン化成 管材事業部 企画グループ グループリーダー 谷中 保夫