【DO!BOOK・ページリンク】
csr2012   39 / 50

BOOKをみる

10秒後にBOOKのページに移動します


東亞合成グループ CSR報告書 2012 39 特 集 CSRマネジメントコンプライアンスコーポレート・ガバナンス RCマネジメント人 財 育 成社会貢献・ コミュニケーションの充実サイトレポート 鉄筋コンクリート建物を長持ちさせる塗装「アクリセプトR工法」 一般のビルは鉄筋コンクリートでできています。鉄筋コ ンクリートは、鉄筋が規定のかぶり厚み(コンクリートの表 面から鉄筋の表面までの距離)のコンクリート(建築基準法 で3cm)で保護されているため、60年の耐用年数を有しま す。鉄筋は、アルカリ性のコンクリートに覆われて健全な 状態にありますが、空気中の炭酸ガスでかぶりコンクリート が中性化すると腐食しやすくなります。空気中の炭酸ガス は約300ppm※とわずかですが、中性化は避けられない自 然現象です。中性化の進行度(中性化深さ)は鉄筋コンク リート造りの建物の余寿命をそのまま示しています。 アクリセプトR工法は、炭酸ガスを遮断しコンクリートの 中性化を抑制できる塗装システムです。 「アクリセプトR工法」の炭酸ガス遮断機能は、アクリル ポリマーの中塗りに、ナノレベルでシート状鉱物が積層され て、炭酸ガスの浸透距離を大幅に長くすることにより発揮 されます(図1)。中性化促進試験により、従来の塗装方法 と比較して、中性化が10倍以上(従来塗装工法の中性化 深さ19mm/アクリセプト工法の中性化深さ1.4mm=14 倍)抑制されていることを確認しました(図2)。 塗装方法はローラー、はけ、吹き付け塗りといった一般 的な方法で、塗膜厚が約0.2mmの薄膜ですが、コンクリー トに対して高い中性化抑制性能を付与できます。 さらに、上塗りにさまざまな色のカラーコートを施すエナ メル塗り仕様に加え、2012年1月に、打ち放しコンクリー トの意匠にも対応できるクリヤ塗り仕様を上市しました。 今後、アクリセプトR工法を鉄筋コンクリート建物の新築、 リニューアルに広く適用して、建物の長寿命化に貢献して いきます。 ※ ppm : 100万分の1 東亞合成 機能化学品事業部 建材・土木グループ 清水 幸夫 サステナブル社会の 構築に貢献 リチウムイオン二次電池需要に応えるエチレンカーボネート 近年のプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車 (EV) などのエコカー、スマートハウスや産業用の蓄電 池に搭載される、リチウムイオン二次電池用電解液の原料 に、優れた溶媒機能を持つエチレンカーボネート(EC)が 使用されています。 近年、地球温暖化防止を見据えたCO.排出量削減の高 まりを受け、米国の自動車新燃費規制、欧州のCO.排出 規制、中国の新エネルギー車政策などを背景にした世界的 なエコカー需要増加、電力需給逼迫やエネルギーミックス テーマを背景にした蓄電池需要増加が見込まれています。 当社は、三井化学株式会社と合弁でMTエチレンカーボ ネートを設立し、2011年11月に三井化学の大阪工場敷地 内にEC製造プラントを完成させました。名古屋工場の精 製EC製造プラントと合わせ、ECの生産能力をアップし、エ コカー需要や蓄電池需要の増大に応えていきます。 また、ECは、高純度化す ることにより電子材料分野 でも使用できる可能性があ ります。ECの特性を生かし た幅広い用途展開や用途開 発を進めていきます。 東亞合成 先端化学品事業部 新材料グループ 満澤 澄典 エコカー、蓄電池の普及による 環境負荷低減に貢献 図1 アクリセプトR工法の中塗り塗膜と従来の塗膜の炭酸ガス拡散の違い図2 中性化促進試験結果 アクリセプトR工法の 中塗り塗膜 断面アクリセプトR工法従来の塗装工法 従来の塗膜 断面 アクリルポリマー (有機) 中性化深さ 1.4o 中性化深さ 19o 200mm シート状鉱物 (無機) 炭酸ガス 炭酸ガス MTエチレンカーボネートに 新設されたEC製造プラント